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主に編集後記とか、デンパな日記とか。
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それから一週間後。
「はぁ……」
司馬懿は、部屋から外を眺めながら溜息をついていた。周りにあった本は片付けられ、全て本棚か倉の中に仕舞われていた。
二日前、曹公の親戚の曹洪殿が家にやってきた。いつものように仮病を使って休もうとしたのだが、彼は許可も無く部屋にまで上がりこんでくると、床に臥している自分の枕元に立ってこう言った。
『何であそこで値切らなかったのですか?!』
どうやら自分が買った髪飾りは大分ぼったくられていたらしい。それを偶然見かけた曹洪殿がわざわざ忠告しにやってきてくれたようだ。
不法侵入した上に二時間も経済学に関する愚痴を聞かされては感謝する気も起きないが。
とにかく、女中を口止めするまでも無く自分が仮病を使っていた事はばれていたらしいので、一族誅滅を逃れる為には自分が働いて誤魔化すしかないようだった。
そして諸々の書類を提出して、今ようやく帰ってきたのだが、いざ働く事が決まるとそれはそれでまた気が重くなるものであった。
「働きたくないなぁ…」
だが、働かなくてはいけない。金の為ではなく、家族の命の為である。折角出来のいい息子もいるのにこんな事で家系が途絶えてしまっては死んでも死に切れない。
「あなた、お帰りなさい」
後ろから呼ばれたので振り返ってみると、そこに妻が立っていた。何故か化粧をして着飾っている彼女が、粟邑県令の張汪の娘、張春華である。
司馬懿が何か言う前に、さっさとコタツに入って隣に座った。その上、体をこちらに預けてしなだれかかってくる。
「……どうしたんだ、急に」
「貴方にこうして甘えられるのも、久しぶりだと思いまして」
半ば親が決めた結婚のようなものだが、見た目も性格も大部分は自分の好みに合っていたので司馬懿は満足していた。それは相手も同じようで、結婚して何年も経った今でもこうして甘えたりしてくれるのが、可愛い所だ。
「別に甘えたければ勝手に甘えればいいんだがなー」
「読書やゲームの邪魔になると、貴方、怒るでしょう?」
「こやつめ、ははは」
この所引き篭もり続きで余り妻に構ってやれなかった為に向こうは寂しい思いをしていたようだ。結構寂しがり屋なので、そういう所も気を使ってやる必要がある。
この前女中にそういう事は疎いと言われたが、それぐらい気を使ってやれる神経は持ち合わせているつもりだ。
女中、と考えてふと思い当たる事があった。多分彼女の事を一番知っているであろう春華に聞いてみる。
「なあ、春華?」
「何ですか?」
「あの……この前曹公から薬を受け取った女中なんだが」
「知りません」
途端に声が険しくなった。どうやら特大級の地雷を踏んでしまったらしい。あの髪飾りを渡して以降、彼女の姿を見ていないのだが、複雑な事態になっていそうだ。
こういう時の春華はそっとしておくのが一番である。下手に刺激してゼットソーで寝首を掻かれては溜まったものではない。
「……そういや、桜が綺麗だな。もう古い桜だから、ここまで綺麗に咲けないと思っていたが……」
「あのままでは可哀想だと思いまして、新しい肥料を与えてあげましたの。
 本に書いてあった通り、綺麗な花を咲かせてくれましたわ」
春華の声はまた元通りに穏やかなものになっている。どうやら、上手いこと誤魔化せたようだった。
それにしても随分いい肥料をあげたようで、見た事もない位綺麗に咲き誇っている。今年は家族で花見と洒落込むのもいいかも知れない。
そんな平和な事を考えながら、これから働くという現実から逃避する司馬懿であった。





親戚の二泊三日の後、ようやくPCに触る事が出来ました。待たせてしまってすみません。……待っている人などいないなんていうツッコミは無しの方向で。
自分の中の司馬懿像は「機をひたすら作る人」。仕官前の逸話、曹操に蜀侵攻を献策した時、孔明戦、その後のクーデターなどひたすら人事を尽くしてチャンスを作るタイプ。で、勝負所では躊躇いなく全力を挙げる。
それがいつの間にか「やる気が出るまで何もしない人」になり、しまいにはこの動画のようなニートに…。まさか司馬懿があそこまで簡単に仲間になるとは思わなかったので、キャラ付けも変な事になってます。
ボツネタですが、諸葛亮に送られたタミフルを服用して斜谷道に突撃、演義通り魏延共々火に巻かれるというものがありました。
吉川三国志の司馬懿は鬱と躁の変化が激しい。陣に引き篭もったかと思ったら隙を見て自分で槍を持って突撃。そして火に巻かれて一家揃って涙目。
……真夜中だから文章が変になってそうです。明日は旅行なので明後日直しておきます。
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見渡す限り本と竹間の山。文字嫌いなら卒倒しそうなその部屋の中央に、コタツに入って本を読んでいる一人の男がいた。
まだ若いながらも目には叡智の光を宿らせている。今日も家から出る気は無いのか、質素な着物で過ごしていた。
「ふうむ……これはなかなか……」
男は本を読みながら何かぶつぶつと呟いている。本を保護する為に薄暗くしてある部屋と積み上げられた書籍の山も相俟って、どこか尋常ではない雰囲気があった。
やがて一段落着いたらしく、本にしおりを挟むと大きく伸びをしてポツリと呟いた。
「いい仮病の参考になった」
男の名は司馬懿、字は仲達。別の世界では高笑いをしながらレーザーを乱射したり、虎豹騎を率いて竜の子の抹殺を企んでいるらしいが、ここではただの人間である。
いや、ただの人間ではない。この乱世で漢王室の血を組む劉備と並んで名声のある、『乱世の奸雄』曹操から再三誘いを受けていると言うのに、兄弟が頑張ってるから働かなくても生きていけると言う理由だけで仮病を使ってそれを断っている、非常に面倒くさがり屋の人間だった。
妻と二人の子供もいるので家系も安泰だと言う理由がその怠け癖を加速させ、今では立派な大人だと言うのに毎日家に引き篭もってテレビゲームに熱中する始末である。
そんな司馬懿が、目の片隅で何か動くものを見た気がした。また呂布か、と思い殺虫剤に手を伸ばすが、コタツの中からでは届かない。寝転がって手を伸ばそうと体を傾けた所、背中が本の山にぶつかってしまった。
元々危ういバランスの上に成り立っていた山である。司馬懿の一押しであっけなく崩れ、その頭に本の雪崩を降り注がせた。それだけでは済まず、周りの本の山まで崩し始めた。
「ぬおおぉぉぉぉぉ?!」
一つの山の崩壊は他山の崩壊を招き、それは全体に連鎖していく。名勝・司馬山脈の最期であった。

 

「あー……死ぬかと思った」
本の雪崩に巻き込まれた後、叫びを聞きつけた息子の昭に救出された司馬懿は、幾つかカビの生えている本を発見し本の虫干しをする事にした。
幸いにも今は冬の終わり、晴れの日は続いている。善は急げと言う事で早速崩れた本の山を並べ始めた。
ふと庭の木に目をやると、桜の蕾が膨らんでいた。最近外に出ていなかったので春が近づいている事に気づかなかったようだ。思えば、こたつは必要無い位暖かかった気もする。
更にその上に目をやると、桜の枝の一本に烏が止まっていた。司馬懿が気づくのを待っていたかのように、彼のほうを向いてカァ、と一声鳴いた。
「……風情が台無しだぞ、お前」
思わず、烏相手に文句を言ってしまう。向こうは言葉が分かっているのかいないのか、また司馬懿を見下すようにカァと鳴いた。
「あのなぁ、私を誰だと思ってるんだ?」
烏相手に司馬の八達の一人という評判を分からせようとする司馬懿。実に大人気ない。そんな司馬懿に烏は言った。
「アホー」
「てめぇこのヤロウッ!」
思わず手に持っていた竹間の一つを投げつける。当然烏には当たらない。それにますます腹が立って、虫干し中の本を次々と投げつけた。
下手な鉄砲も数打てば当たると言う事で、本の一つが烏のとまっていた枝に辺り、驚いた烏はカァカァ騒ぎながら逃げていった。
「ゼェゼェ……ざ、ざまあみろ、雑鳥風情が……」
久しぶりの激しい運動で息を切らしながらも、勝ち誇ったセリフは忘れない。
「仲達様、大丈夫でございますか?!」
声がしたので振り返ると、いつの間にそこにいたのか、馴染みの女中が壺を持って立っていた。
「ん、ああ。大した事は無い。烏を追い払っていただけだ」
「しかし息を切らしておりますが……」
「久しぶりに動いたからな。体がなまっていたらしい」
そのお陰か、何だか細かい事は気にならないぐらい爽やかな気分になっていた。
「で、その壺は?」
「あ……曹公から頂きました薬にございます」
「あ、そう。とりあえず倉にしまっておいて」
「か、かしこまりました……」
何故か驚いている女中はそう言ってお辞儀をすると、壺を持って倉のほうに歩いていった。
それを見送った司馬懿は、投げつけた本のことを思い出しそれを拾いにいった。結構多めに投げつけたようで、一度で全部持つのは難しかったのでとりあえず持てるだけもって縁側に置いた。
その時一冊の本が目に留まった。先ほど雪崩に巻き込まれた時に読んでいたあの本である。タイトルにはこう書いてあった。
『厄介事を受け流す50の方法 ~ただの仮病じゃもう古い~』
暫く固まった後、ゆっくりと女中が去った方向を見た。先ほど自分で見送ったので、もうそこにいるはずが無い。もう一度、本の表紙を見て固まった。

司馬懿、人生で初めての失策であった。






予告どおり、司馬懿のSSです。今回は『劉度シリーズの』司馬懿が曹操軍に仕官するまでの話を描いています。現実はこんなのじゃありませんよ。予想以上に長くなりそうなので前後編に分けてみました。
後編からはあのお方が暗躍しますが、あくまでも司馬懿のSSなので司馬懿視点で描きます。

編集後記とかいいながら全然動画の話してない。

ちょっと頑張って司馬懿のSS書いてくる。
去年の7月頃でしょうか。ニコニコを見ていた私はふと、三国志と言うキーワードで何が出てくるのか気になって検索してみました。最初に出てきたのは画面全体に広がる炎でした。それが私のニコニコ歴史戦略ゲーとの出会いでした。
その頃はまだ動画の絶対数が少なかったので、SLGの動画も殆どありませんでした。その中で目に付いたのが、今では有名となった「新世紀東方三国志~ひぐらしの憂鬱」さんの動画。……正直に言うと、私最近のアニメに余り詳しくなくて、シューティングと言ったら1945しか思い浮かばない人間なので、東方もひぐらしも何それ?といった状況ですがそれでも楽しく見させていただきました。
その後三国志9を買って自分で楽しんでいると、まあ当然の事ながら自分もプレイ動画を上げたくなってしまいました。悲しい事に、これも人の性か。
ただ、その頃色んな動画の中で「登録強すぎて萎える」「もっと三国武将にスポットライトを」と言ったコメントがあり、その上SLGのプレイ動画の種類も充実してきたので何のひねりも無しに出しても一瞬で押しつぶされると思いました。
そこで、『登録武将も三国武将も公平にかっこいい動画』を作ろうと頭の中で計画。
三十秒で挫折。
かっこいい人物が活躍する物語を作る以上、相対的にかっこ悪くなる人物も出てくる事にすぐに気づきました。というか、そもそもかっこいい人物を描ける自信がありませんでしたし。
どうしようかと悩み始めたとき、頭の中で声が響きました。

「逆に考えるんだ『登録武将も三国武将もかっこ悪けりゃいい』と考えるんだ」

この『かっこ悪い』の部分がいつの間にか『キャラが壊れてる』にすり替わり、その結果荊州四英傑のお笑いカルテット、ズェー、引き篭もりの司馬懿と言った変なネタが生まれ、頭を冷やす事しか考えない魔王、ハヤテキュン、いぃぃぃたぁぁぁがぁぁぁきぃぃぃ!! のように登録勢にも派生してしまったのでした。
でも後悔はしてない。




ちなみに。
スバルの顔グラは面倒くさかったから適当に目に付いたものをキャプチャしただけです。あしからず。


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非公開
誕生日:
1989/07/03
職業:
遂に大学生に。
趣味:
読書と言えば聞こえがいい
自己紹介:
紅茶よりもコーヒーのほうが好きです。というか、どうしても紅茶が飲めません。劉度シリーズでの大当たりに調子に乗ってブログを始めました。更に調子に乗って新作をはじめました。
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